Classiques japonais avec furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lisez 嵐 (あらし) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 54 007 caractères · 108 écrans
それには友だちの一人と十五円ずつも出し合い、三十円ばかりの家を郊外のほうに借りて、自炊生活を始めたいと言い出した。敷金だけでも六十円はかかる。最初その相談が三郎からあった時に、私にはそれがお伽噺のようにしか思われなかった。
私は言った。
「とうさんも若い時分に自炊をした経験がある。しまいには三度三度煮豆で飯を食うようになった。自炊もめんどうなものだぞ。お前たちにそれが続けられるかしら。」
私としては、もっとこの子を自分の手もとに置いて、できるだけしたくを長くさせ、窮屈な思いを忍んでもらいたかったが、しかしこういう日のいつかやって来るだろうとは自分の予期していたことでもある。それがすこし早くやって来たというまでだ。それに気質の合わないことが次第によくわかって来た兄妹をこんな狭い巣のようなところに無理に一緒に置くことの弊害をも考えた。何も試みだ、とそう考えた。私は三郎ぐらいの年ごろに小さな生活を始めようとした自分の若かった日のことを思い出して現に私から離れて行こうとしている三郎の心をいじらしくも思った。
この三郎を郊外のほうへ送り出すために、私たちの家では半分引っ越しのような騒ぎをした。