Classiques japonais avec furigana
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かわなみ
川波
久生 十蘭
Lisez 川波 (かわなみ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 022 caractères · 18 écrans
という匿名会社に、三カ年の買付契約を結ばせるという、参謀本部が「昭和十六年作戦」と称している総力戦計画推進の一部をなすものだというようなことをボソボソと説明した。
「おれにとって、ヨーロッパの戦争なんか、どうなったってかまうことはない。日本は昭和十六年にどんな戦争をはじめようというのか、そのほうがよほど心配だ。相手は英米なんだろうが、作戦の規模から推すと、支那事変などとは、くらべものにならないほど大きなものだということがわかるんだから」
「なるほど、それは大事だな」
「軍部の頭は、一面秀抜だが、想像力においてなにか欠けるところがあるようだ。自国の力を過信している点では、ポーランドとよく似ているよ……白耳義の屑鉄もチュニスの燐鉱も、いま、おれがやっている仕事は、骨を折ってやればやるほど、日本の滅亡を早める馬と拍車の関係になっている。どう胡魔化しても、この事実だけは胡魔化しきれない。ともかく、えらいことになったもんだよ」
そんなことをいっているところへ、久慈倫子がブラリとしたようすでバアへ入ってきた。
「あら、治兵衛さん……和田さん、お久しゅう」
パール・グレイのしゃれたアフタヌンを着て、リュムゥルの香水をほんのりと漂わせている。