Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かわなみ
川波
久生 十蘭
Lisez 川波 (かわなみ) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 022 caractères · 18 écrans
「倫子さん、ロンドンへ帰るのかい」
和田がたずねると、倫子は、
「どうしたって、それゃ、帰るだろうじゃありませんの。離縁になったわけじゃないんですもの」
といって笑った。
「いままでブラブラしていたくせに、あぶなくなってから、あわてて帰りかけるなんて、意味のないことをするもんだ。豊川がいくらひきうけたって、戦争がはじまるモーメントなんか、誰にだってわかるもんじゃないから」
「でしょう? だからこそ、帰るんじゃありませんの。日本へ逃げていたおかげで、助かったなんて言われるの、癪だからよ。三池の家の人たちなら、言わずにはいないわ」
「わからない話だな。戦争というなら、日本にいるほうが、もっとあぶないじゃないか。ともかく、意味ないよ、こんなときに船に乗るなんて……おれのほうは差迫った用があるから、しょうがないが」
「あなたもいらっしゃるんでしたの。おなじ船じゃないかしら……あたしのは、この二十三日のクレーデルという独逸の船」
「おれのもそれだよ。いまのところ、安全なのは独逸の船だから」
すると倫子が、
「あら、そうだったの」
と拍子抜けがしたような白けた顔をした。
「なんだい、その顔は」