Classiques japonais avec furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lisez 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 365 120 caractères · 728 écrans
それが、けむりか何ぞのように、眼に見えて、軒を逃げて、樹間に象眼された冬ぞらへ吸われていくような気がするのだ。
お高は、筆をおいて、ぼんやり戸外を見あげている。惣七が、いっていた。
「二百五十両も、衣裳を買いこむやつも、買い込むやつだが、貸すほうも、貸すほうだて。全く、笑わせる。女子のなかには、度し難いのがおるものだな」
お高が、きいた。物思いから、急にさめたような声だ。
「あの、あて名は、麻布十番の馬場屋敷内、高音と申すのでござりますか」
「さよう。麻布十番の馬場屋敷居住、高音という女です、愚かなやつだ」
「はい」
「きょうは、手紙は、それでおしまいにしましょう」
「はい」
「疲れたであろう。大儀大儀。ゆっくり休息なされたがよい」
「はい」
「もうよい。あすまで用はない」
「はい」
「用がないと申したら、用はないのだ」惣七は、じりじりと甲高い声になっていった。「早く、部屋へ引き取れ」
「はい」
「な、何をぐずぐずといたしおるのだ!」
「はい。あの――」
「何?」
「あの、磯五は、磯五とやら申す呉服屋は、そんなに恐ろしい店なのでござりますか」
「恐ろしい? なにがおそろしいのだ。