Classiques japonais avec furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lisez 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 365 120 caractères · 728 écrans
「だしぬけにまいって、お邪魔ではござらぬかな」
「いいえ。どういたしまして」
お高は、金剛寺の境内などで、両三度この坊さまを見かけたことはあったが、こうしてそばでしげしげと見るのは、はじめてであった。おかしい人だとばかり思っていたのが、何だかなつかしい人だと思った。こういう坊さまだからこそ、じぶんの費用で学房などをひらいて、近所の子供と仲よしになっているのだと思った。
「じつは、先日洗耳房のために喜捨してくれたお武家が、当屋敷に厄介になっておると聞いて、礼をいいかたがた、ぜひ見てもらいたいものがあって来たのだが、いま玄関で聞けば、あの人はもうおらんという。そこで、代わりにあんたに会うてみる気になった」
洗耳房というのは、寺内に結んでいる一空和尚の庵室のことであった。そして、そこへ近隣の小児たちをあつめて、学問を教えているのだった。
お高は、龍造寺主計を思い出して、また妙に胸がはためいた。
「龍造寺様でございますか。あの方でしたら、東海道の掛川のほうへおいでになりましてございますよ」
「発ったあととあっては、よんどころない。あの金で、餓鬼どものためにいいものをこしらえてやったので、見てやってもらおうと思ったのじゃが」