Classiques japonais avec furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Lisez 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 365 120 caractères · 728 écrans
そこには、数株の金雀枝がいっぱい花をつけて、紙面と磯五の顔とに黄いろく照りはえていた。
磯五は、二、三度読み返した。が、何のことかわからなかった。
ただ、木場の甚というのは誰であろうと思って、急用とあるのは、金のことではあるまいかと、一流の直感で、しきりにそんな気がした。小判は磯五のたましいなので、金のためには、どんなにでも強くなれる磯五なのだ。黄金いろの神像のほか、磯五は神も仏も知らないのだ。したがって遠くから金のにおいをかぎつけるのに、異常に発達した神経をもち合わせてもいた。
磯五はいま、何となくその金のにおいをかいだような気がして、粒のそろった白い歯で紅い下くちびるをかんで真剣な顔つきになった。そして、封書をもとどおりにして、家へ持ってはいって、出会った女中の一人にお高のところへ届けさせた。
それから、自分が寝起きしている客間の渡り廊下が鍵の手についている部屋へ行って、磯五が仰向けに寝ころがって、いまお高へきた手紙は何のことであろう? お高は、あれにあるとおり、すぐ江戸へ帰るであろうか。天井板をにらんで考えているところへ、おせい様についてこっちへ来ている、お駒ちゃんの父親の板の久助が、盆に茶碗をのせてはいって来た。