Classiques japonais avec furigana
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きぼう
希望
小川 未明
Lisez 希望 (きぼう) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 804 caractères · 4 écrans
また、あるときは、思わぬ知遇を得て、栄達する自分の姿を目に描きました。そして、毎日このがけの上の、黄昏の一時は、青年にとってかぎりない幸福の時間だったのであります。
奇蹟が、あらわれるときは、かつて警告というようなものはなかったでしょう。そして、それは、やはり、こうした、ふだんの日にあらわれたにちがいありません。
青年は、今日もまた空想にふけりながら、沖をながめていました。ふと、その口笛は止まって、瞳は水平線の一点に、びょうのように、打ちつけられたのです。いましも、金色に縁どられた雲の間から、一そうの銀色の船が、星のように見えました。そして、その船には、常夏の花のような、赤い旗がひらひらとしていました。
「あの船だ!」
青年は、夢の中で見た船を思いだしました。とうとう、幻が現実となったのです。そして幸福が、刻々に、自分に向かって近づいてくるのでありました。
見ていると、銀色の小舟は、波打ちぎわにこいできました。入り陽が、赤い花弁に燃えついたように、旗の色がかがやいて、ちょうど風がなかったので、旗は、だらりと垂れていました。船の中で、合図をしているように思われました。