Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

へいぼん

平凡・私は懐疑派だ

二葉亭 四迷

Lisez 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) de 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 81 548 caractères · 161 écrans

Aozora Bunko

「今日は! 桝屋でございます!」

と、ツイ障子一重其処の台所口で、頓狂な酒屋の御用の声がする。これで、私は夢の覚めたような面になる。で、ぼやけた声で、

「まず好かったよ。」

酒屋の御用を逐返してから、おお、斯うしてもいられん、と独言を言って、机を持出して、生計の足しの安翻訳を始める。外国の貯蓄銀行の条例か何ぞに、絞ったら水の出そうな頭を散々悩ませつつ、一枚二枚は余所目を振らず一心に筆を運ぶが、其中に曖昧な処に出会してグッと詰ると、まず一服と旧式の烟管を取上げる。と、又忽然として懐かしい昔が眼前に浮ぶから、不覚其に現を脱かし、肝腎の翻訳がお留守になって、晩迄に二十枚は仕上げる積の所を、十枚も出来ぬ事が折々ある。

こうどうも昔ばかりを憶出していた日には、内職の邪魔になるばかりで、卑しいようだが、銭にならぬ。寧そのくされ、思う存分書いて見よか、と思ったのは先達ての事だったが、其後――矢張り書く時節が到来したのだ――内職の賃訳が弗と途切れた。此暇を遊んで暮すは勿体ない。私は兎に角書いて見よう。

実は、極く内々の話だが、今でこそ私は腰弁当と人の数にも算まえられぬ果敢ない身の上だが、昔は是れでも何の某といや、或るサークルでは一寸名の知れた文士だった。