Classiques japonais avec furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lisez 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) de 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 81 548 caractères · 161 écrans
人間は皆私達親子のように自分を可愛がって呉れるものと思っているポチの事だから、犬殺しとは気が附かない。何心なく其面を瞻上げて尾を掉る所を、思いも寄らぬ太い棍棒がブンと風を截って来て……と思うと、又胸が一杯になる。
ヒュウと悲しい音を立てて、空風が吹いて通る。跡からカラカラに乾いた往来の中央を、砂烟が濛と力のない渦を巻いて、捩れてひょろひょろと行く。
私は其行方を眺めて茫然としていた。と、何処でかキャンキャンと二声三声犬の啼声がする……佶と耳を引立って見たが、もう其切で聞えない。隣町あたりで凍けたような物売の声がする。
何だか今の啼声が気になる。ポチは殺されたのだから、もう此処らで啼いてる筈はない。余所の犬だ余所の犬だ、と思いながら、何だか其儘聞流して了うのが残惜しくて、思わずパタパタと駈出したが、余所の犬じゃ詰らないと思返して、又頽然となると、足の運びも自然と遅くなり、そろりそろりと草履を引摺ながら、目的もなく小迷って行く。
小迷って行きながら、又ポチの事を考えていると、ふッと気が変って、何だか昨日からの事が皆嘘らしく思われてならぬ。私が余りポチばかり可愛がって勉強をしなかったから、父が万一したら懲しめのため、ポチを何処かへ匿したのじゃないかと思う。