Classiques japonais avec furigana
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ゆうれいとう
幽霊塔
黒岩 涙香
Lisez 幽霊塔 (ゆうれいとう) de 黒岩 涙香 (くろいわるいこう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 266 479 caractères · 532 écrans
者だから随分甚い目に逢いました」秀子は益々常の心地に復えるに連れ、愈々其の身の位地に当惑する如く「貴方、貴方、丸部さん」と最と鋭く叫んだ、余「ハイ何ですか」秀子「貴方は、日頃の慈悲がお有り成されば是限り何うか私の後を追わぬ様に仕て下さい、此のまま私を立ち去らせて下さい」
素より承知の出来る請ではない、と云って秀子は余の承知と不承知に拘らず茲を去る決心であることは言葉の調子にも現われて居る。思えば其の決心も決して無理ではない、一旦夫婦約束まで出来て居た余に汚らわしい女と思われ愛の言葉さえ掛けられぬ様に成ったと知って、何うして茲に居られよう、殊に心の澄み渡るほど綺麗な秀子の気質としては、唯此の一事のみの為にも深く心を決す可き筈である。
之を思うと余は愚痴の様だけれど益々権田時介との約束が恨めしい、茲で情けある言葉を掛け我が愛にも尊敬にも、少しも変る所はないから矢張り未来の妻として茲に留まって居て呉れと、何うして言わずに居られよう、約束は何うなろうと、エエ儘よとの一念に余は心も顛倒し、蹙み附く様に再び秀子の手を取った、然り再び秀子の手を取ったけれども、又思い出して、茲で若し約束を破り其が為に権田時介を怨ませて、彼の恨が余と秀子との上に降り下る