Classiques japonais avec furigana
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きゅうどうちゅうそでん
弓道中祖伝
国枝 史郎
Lisez 弓道中祖伝 (きゅうどうちゅうそでん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 647 caractères · 19 écrans
が果たして射術の方は? ……両様の態定った暁、何も彼もお明しなさるがよろしい」
ここでにわかに手を拍つ音が、田楽の節を帯びて聞こえてきた。
「天王寺の妖霊星! 天王寺の妖霊星!」
「見たか見たか妖霊星!」
女がそれに合わせて歌った。これも同じく手を拍っている。
「千早は落ちたか、あら悲しや」
「悲しや落ちた、情なや」
「天王寺の妖霊星!」
「妖霊星、妖霊星!」
足拍子の音が聞こえてきた。
しかし次第に遠退いた。踊りながら築山の奥の方へ、二人揃って行ったようであった。
3
書院へ帰って来た日置正次は、あッとばかりに驚かされた。蒔絵の燭台に燈火がともり、食机の上に盆鉢が並び、そこに馳走の数々が盛られ、首長の瓶子には酒が充たされ、大盞が添えられてあり、それらの前に刺繍を施した茵が、重々と敷かれてあったからである。
「ほう」と正次は声を洩らした。
「これは一体どうしたことだ?」
しかし直ぐに感づいた。
(さっきの女性と老人とが、この館に住む人々で、その人々がこの身に対し、心尽くしをしたのであろう)
「忝けのうござる、頂戴仕る」
どこにも人影は見えなかったが、いずれどこかでこっちの進退を、仔細に観察しているだろうと、こんなように考えられたところから、こうつつましく礼を云い、それから瓶子を取り上げて、酒を注ぎ盞を取った。