Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
びしょう
微笑
横光 利一
Lisez 微笑 (びしょう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 911 caractères · 50 écrans
これは豪い男ですよ。人格も立派です。そこへいくと、僕なんか、伊豆を呼び捨てに出来たもんじゃありませんがね。」
この栖方のどこが狂人なのだろうか、と梶はまた思った。二十一歳で博士になり、少佐の資格で、齢上の沢山な下僚を呼び捨てに手足のごとく使い、日本人として最高の栄誉を受けようとしている青年の挙動は、栖方を見遁して他に例のあったためしはない。それなら、これからゆく先の長い年月、栖方は今あるよりもただ下るばかりである。何という不幸なことだろう、梶はこの美しい笑顔をする青年が気の毒でならなかった。
六本木で二人は降りた。橡の木の並んだ狸穴の通りを歩いたとき、夕暮のせまった街に人影はなかった。そこを坂下からこちらへ十人ばかりの陸軍の兵隊が、重い鉄材を積んだ車を曳いて登って来ると、栖方の大尉の襟章を見て、隊長の下士が敬礼ッと号令した。ぴたッと停った一隊に答礼する栖方の挙手は、隙なくしっかり板についたものだった。軍隊内の栖方の姿を梶は初めて見たと思った。
「もう君には、学生臭はなくなりましたね。」と梶は云った。
「僕は海軍より陸軍の方が好きですよ。海軍は階級制度がだらしなくって、その点陸軍の方がはっきりしていますからね。