Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こころのかわ

心の河

宮本 百合子

Lisez 心の河 (こころのかわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 442 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

「ね、貴方――安心?」

「何が?――君のような出しぬけでは、返事に困るよ」

保夫の言葉つきの裡には、充分な用意と、それを包んだ平静さ、子供扱いの気軽さを装う響きがあった。

「何だい?……地震」(一九二三年東京、湘南地方に大震があり、翌年になってもしばしば余震があった。)

「そんなことじゃないわ、地震なんか――私共のこと。――」

さよは、顔を擡げて良人を正視した。

「貴方ちっともそんな心持はなさらないの? しんから安心?」

保夫は煙草の煙をよけるように瞼をせばめた。

「何か僕達の生活に不安があるというの?」

さよは、合点をした。

「私この頃堪らないの」

「……何も不安な処なんかないじゃあないか。僕はこんなに貞節のある良人だ! 君は君で一日じゅう眠ろうが起きようが自由な身の上だ!――僕は不安どころか、大いに幸福だと思う。特に、君なんかユートピア以上の生活だな」

さよは、不愉快に良人の軽口の先を折った。

「冗談はあと。私は真面目よ。――貴方本当に私共の生活が充実しているとお思いになること? 大丈夫、完全なものだとお思いなさる? 私は、この頃、そう呑気でいられなくなったわ。