Classiques japonais avec furigana
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ひつよういじょうのもの
必要以上のもの
豊島 与志雄
Lisez 必要以上のもの (ひつよういじょうのもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 415 caractères · 11 écrans
今になって泣くなんて、おかしいでしょう。そうじゃありません?」
K子はさんざんぐれだしたが、三ヶ月ばかりして、仙台にいってしまった。まだそこで芸妓に出てるという話である。
それはそれとして、B君の面白い言葉がある。
「田舎の芸者はあぶないですよ。すぐにむきになってきますからね。そこにいくと、東京の芸者は安全なもので、決して真剣になんかなりませんね。何かこう、愛情以上の大きな伝統といったようなものがあって、男によりも、その方によけい頼れるんでしょうね。」
ここで、文学者の頭の中に、おかしな連想がわくのである。「狭き門」のなかのアリサは、清浄な結合という宗教的な伝統によりかかって、容易にジェロームの腕に身を投じなかった。B君の芸妓観がもし正しいとすれば、例えばK子は、混濁そのものを無垢にする特殊な伝統によりかかって、容易にB君の腕の中に飛びこんでいかなかった、のかも知れない。少くともそういう風に考えなければ、小説になりにくいのである。
B君はまた、或る時云った。
「どうにもならないように思われることは、案外どうにかなるもので、どうにでもなると思われることが、実はどうにもならないんです。