Classiques japonais avec furigana
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ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
Lisez 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 602 caractères · 47 écrans
忠直卿は、この頃から胸のうちに腐りついている鬱懐の一端が解け始めて、明かな光明を見たように思われた。
「ただこのままに、お手打ちを」と嘆願する与四郎は、なんのお咎めもなく下げられたばかりでなく、与四郎の妻も、即刻お暇を賜った。
が、忠直卿のこの歓びも、決して長くは続かなかった。
与四郎夫婦は、城中から下げられると、その夜、枕を並べて覚悟の自殺を遂げてしまった、なんのために死んだのか、確かにはわからなかったが、おそらく相伝の主君に刃を向けたのを恥じたのと、かつは彼らの命を救った忠直卿の寛仁大度に、感激したためであろう。
が、二人の死を聞いた忠直卿は、少しも歓ばなかった。与四郎が覚悟の自殺をしたところから考えると、彼が匕首をもって忠直卿に迫ったのも、どうやら怪しくなって来た。忠直卿に潔く手刃されんための手段に過ぎなかったようにも思われた、もしそうだとすると、忠直卿が見事にその利腕を取って捻じ倒したのも、紅白仕合に敵の大将を見事に破っていたのと、余り違ったわけのものではなかった。そう考えると、忠直卿は再び暗澹たる絶望的な気持に陥ってしまった。
忠直卿の乱行が、その後益々進んだことは、歴史にある通りである。