Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おもいだすことなど

思い出す事など

夏目 漱石

Lisez 思い出す事など (おもいだすことなど) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 57 003 caractères · 113 écrans

Aozora Bunko

そうして、一つどんと素気なく鳴ると共にぱたりと留った。余は耳を峙だてた。一度静まった夜の空気は容易に動こうとはしなかった。やや久らくして、今のは錯覚ではなかろうかと思い直す頃に、また一つどんと鳴った。そうして愛想のない音は、水に落ちた石のように、急に夜の中に消えたぎり、しんとした表に何の活動も伝えなかった。寝られない余は、待ち伏せをする兵士のごとく次の音の至るを思いつめて待った。その次の音はやはり容易には来なかった。ようやくのこと第一第二と同じく極めて乾び切った響が――響とは云い悪い。黒い空気の中に、突然無遠慮な点をどっと打って直筆を隠したような音が、余の耳朶を叩いて去る後で、余はつくづくと夜を長いものに観じた。

もっとも夜は長くなる頃であった。暑さもしだいに過ぎて、雨の降る日はセルに羽織を重ねるか、思い切って朝から袷を着るかしなければ、肌寒を防ぐ便とならなかった時節である。山の端に落ち込む日は、常の短かい日よりもなおの事短かく昼を端折って、灯は容易に点いた。そうして夜は中々明けなかった。余はじりじりと昼に食い入る夜長を夜ごとに恐れた。眼が開くときっと夜であった。