Classiques japonais avec furigana
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あやしのもの
怪しの者
国枝 史郎
Lisez 怪しの者 (あやしのもの) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 259 caractères · 25 écrans
(途方にくれているらしい)わたしはおかしくなりました。(殺生だが一つからかってやろう)というのは、そのお侍さんの誰であるかが、私にわかっていたからで。
そこでわたしはお侍さんに近より、
「討ち損じたは貴郎様の未熟、それでさがし出して討とうとなされても、あてなしにおさがしなされては、なんではしっこい江戸者などを、さがし出すことができましょう」
と、ささやくように言ってやりました。
西条勘右衛門様の驚くまいことか――そう、そのお侍様は西条様なので――ギョッとしたように振りかえられました。でも見廻した西条様の眼には、菰をまとい竹の杖をつき、面桶を抱いた乞食のほかには、人っ子一人見えなかったはずで。そうしてまさかその乞食が、今のようなことを言ったとは、思わなかったことと存じます。
はたして西条様は、自分の耳を疑うかのように、首をかしげましたが、やがて足を運ばれました。そこでわたしもしばらくの間は、無言で従いて行きました。でもまたこっそり背後へ近寄り、ささやくように言ってやりました。
五
「大工だと申したではございませんか。ではお城下の大工の棟領を――それも船大工の棟領を、おしらべなさいましたら、あの男の素性も、現在のおり場所も、おわかりになろうかと存ぜられまする」