Classiques japonais avec furigana
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かいいくろひめおろし
怪異黒姫おろし
江見 水蔭
Lisez 怪異黒姫おろし (かいいくろひめおろし) de 江見 水蔭 (えみすいいん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 963 caractères · 26 écrans
母はそれを悲しんで、病を起して悶え死に死んだ。
兄の鉄之助というのが、その為に高田の松平家を呪って、城内に忍び込み、何事をか企てようとしたところを、宿直の侍女に見出されて捕えられた。それは当主光長の母堂(忠直の奥方にして、二代将軍秀忠の愛女)の寝室近くであった。その為に罪最も重く磔刑に処せられたのであった。
こういう因縁の下に滝之助は、高田の松平家を呪って呪って呪い抜き。
「何んとかして敵を討つ! 怨恨を晴さいで措こうかッ」
燃えるが如き復讐心を抱いて、機会の到来を待っているのであった。
今ここで武道者を殺害した滝之助は、その血の滴たる鎌を洗うべく御手洗池に近寄った。蠑が時々赤い腹を出して、水底に蜒転するのは、鎌の血と色を競うかとも見えた。
滝之助は血鎌を洗う前に、清水を手に掬って、喉の乾きを癒やさずにはいられなかった。大男の圧迫がかなり長く続いたからであった。
「滝之助、美事に遣りおったな」
不意に後から声を掛けられたので、滝之助は吃驚した。次第に依ってはその人をも殺して罪を隠そうと、身構えながら、振向いて見た。
「おう、先生!」
いつの間に来たのやら、まるでそれは地の底からでも湧き出したかの様。