Classiques japonais avec furigana
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おそろしきさくご
恐ろしき錯誤
江戸川 乱歩
Lisez 恐ろしき錯誤 (おそろしきさくご) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 075 caractères · 46 écrans
達の敵本主義の賜だった。その中でも、最もしげしげ彼の室に出入したのは、今云った野本氏、越野氏、その他二三氏のグループだった。彼等の暗闘は並々ならず烈しいものだった。だがそれはあくまで暗闘だった。
就中、野本氏は最も熱心だった、秀麗な容貌の持主で、学校の成績も先ず秀才の部に属してい、その上、随分調子のいい交際家でもあった野本氏が、我こそという自信を持っていたのは至極当然なことだ……。彼自身そう信じていたばかりでなく、競争者達も、残念乍ら彼の優越を否定する訳には行かなかった。北川氏の書斎に於ける談笑の中心は、いつも極った様に野本氏が引受けていた。時たま妙子が座にある時、若しそこに野本氏が居ないと、座が白けた。野本氏が居れば、彼女も快活に口を開いた。
彼女が大声に笑ったりするのは野本氏の居る時に限られた。そういう調子で、彼は苦もなく妙子に接近して行ったのだった。
誰しも野本氏こそ勝利者だと思った。
色々な機会の色々な暗黙の了解によって、野本氏自身もそう信じていた。あとには唯プロポーザルが残っているばかりだと信じていた。
彼等の関係が丁度そうした状態にある時、暑中休暇が来た。