Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おそろしきさくご

恐ろしき錯誤

江戸川 乱歩

Lisez 恐ろしき錯誤 (おそろしきさくご) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 075 caractères · 46 écrans

Aozora Bunko

大切なものを持出したり、子供に怪我をさせまいとしたり、そういう場合でなければ経験の出来ない、一種異様な、追いつめられた様な、せかせかした気持の為に、可成の時間を殆ど一瞬の様に感じたせいもあろうけれど、あの、とほうもなく大きな大蛇の舌ででもある様な「火焔」という生物が、人間の住家を嘗め爛らして了う速さというものは、ほんとうにびっくりする程であった。

北川氏は第一に幼児――誕生を過ぎてまだ間もなかった幼児を抱いて、少し離れた友人の家へかけつけた。

泣叫ぶ子供は、友人の細君に託し、友人にも手伝って貰って、出来る丈けの品物を持出そうと、彼は火事場へ取って返した。

寝衣姿の狂気めいた北川氏は、人間がまだ言葉というものを知らなかった、原始時代に立帰って、意味を為さぬ世迷事を口走り乍ら、息を切らして走るのだった。

そうして、友人の家との二三町の間を二回往復すると、もう火勢が強くなって、品物を持出すどころではなく、危くすると命にも拘りそうになったので、彼は兎も角も友人の家に落着いて何よりも先ず、痛みを感じる程に、カラカラに渇いた喉を、コップに何杯も何杯もお代りをして、湿したのだった。