Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Lisez 恐怖王 (きょうふおう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 66 038 caractères · 133 écrans
知らぬどころか、彼は世にもすばらしい恋人に恵まれていたのだ。
花園京子といえば、新聞を読む程の人は誰でも知っているだろう。公卿華族花園伯爵の令嬢で、華族様の癖にオペラの舞台に立った程の声楽家で、その上、非常な美人であった。その華族令嬢が、何を物好きに貧乏小説家などを恋したのか、恐らく彼女の探偵小説好きがきっかけとなったのであろうが、これを知る者、誰一人蘭堂の果報を羨まぬ者はなかった。
その花園京子が、今日も蘭堂のアパートを訪ねて来た。だが、いつもの彼女とは異って、何となく浮かぬ顔をしている。
「変だね、君どうかしたんじゃない? いやにふさいでいますね」
蘭堂はすぐ様それを気取って尋ねた。
「エエ、少し。何だか訳の分らない妙なことがあったのよ」
京子は洋装の胸から小さな紙包みを取出して、テーブルの上に置いた。
「妙なことって?」
「今朝早く、お友達をお見送りして、東京駅の待合室にいる時、変な男が、突然あたしに話しかけたのよ」
「それで?」
「この紙包みを、ソッとあたしに渡すんじゃありませんか。そして、『お約束の薬です。これを召上れば、あなたの声はもっともっとよくなります』