Classiques japonais avec furigana
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あくのはなたば
悪の花束
久生 十蘭
Lisez 悪の花束 (あくのはなたば) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 888 caractères · 48 écrans
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ブゥクレとピロンは、低身叩頭して弁解につとめたが、夫人は石のような表情で、返事もしない。そのうちに、手提から香水瓶のようなものを出して、鼻にあてがったと思うと、顔面を痙攣させて、あッという間に絶命した。二人は仰天し、次にとまった駅で、夫人の死体を残したまま、後も見ずに逃げてしまった。
青服の紳士などという、ありもしない人物を登場させたのは、そうでもしなければ、損金の補填に窮し、夫人を殺したのだろうという嫌疑がかかるかと、ひたすらそれを恐れたためであった。二人の見込みでは、もともと空想の産物なのだから、いかに警察でも、風か空気のようなものを掴まえることはできない。捜査の方針をごたつかせ、うやむやに胡魔化してしまうことができると思っていた。
二人はレーノォなる人物を知らず、その人を加害者に仮託しようなどと、夢にも思っていなかった。只々臆病から思いついたことだったので、レーノォが死刑になるかも知れないというところで、驚いて、一切を自供した。香水瓶のホスゲンは、どういう方法で持出したものか、われわれは全然、聞かされていない。あれから二十年経ち、その間に、二度の大戦があった。