Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
じょういのかんまん
情意の干満
豊島 与志雄
Lisez 情意の干満 (じょういのかんまん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 599 caractères · 6 écrans
情意の満潮の時なのだ。
何を読んでも、何を聴いても、何を眺めても、一切が悉く低劣卑賤に思われる。部分的な美は、全体の醜のなかに呑みこまれる。傑れた思想や作品にめぐり逢っても、畢竟、斯かるものでこの人生を如何せんやという思いが強い。私は人生のことを考えるのである。人間の生活、その悲惨や桎梏や欲望や希望、その現実と理想とを、私は考えるのである。直接的なもの現実的なものと、間接的なもの理想的なものとの乖離が、不安な焦慮を齎す。現在に対して絶望が頭をもたげ、未来に対して信念が薄らぐ。斯かる一切のものが何の役に立つか。強力な実践的なものが必要なのだ。宝石の光は巖石の重量に及ばない。本日天気晴朗なれども波高し、というのが日本海軍の海戦記の常套語だと聞く。私の心中も、本日天気晴朗なれども波高し。こういう時私は、批評家ではない。珠玉をも瓦礫のなかに蹴やるからである。猶更、創作家ではない。思いあがった浮薄な文字を羅列するか、或は凡てが無意義に思えるからである。こういう時私は、社会を考えてはいけない。ニヒリズムか或はファシズムに陥り易いからである。私の魂は総毛を逆立てている。