Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おろかないちにち

愚かな一日

豊島 与志雄

Lisez 愚かな一日 (おろかないちにち) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 045 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

そして意識が次第に蝕されてゆくような、何もかも投り出した安らかな昏迷のうちに、彼はうとうとと眠りかけた。

どれ位時間がたったか彼は覚えなかった。何かの気配にふと眼を開くと、室には明るく電灯がともされて、妻が一人枕頭に坐っていた。

「お眠りになって?」と彼女は云った。

「うむ。」と答えたまま、彼はぼんやり妻の顔を眺めていた。

暫くして彼女はまた云った。

「何だか額がお熱いようで心配だから、熱を測ってごらんなさらない。」

「うむ。」と彼はまだぼんやりして答えた。

「碁なんかなすったから、また熱が出たのじゃないでしょうか。」

然し熱を測ると、六度八分きりなかった。彼女は検温器を電気にかざしながら微笑んだ。眉根に小さな皺を拵らえて軽い憂いを額に漂わしながら、口元の筋肉を弛めて白い歯並をちらと覗かした。その心配と安堵とを一緒にした彼女を見て、彼は妻を美しいものに思った。

「何でそう私の顔を見て被居るの?」と彼女は云った。「御気分でもお悪いの? お疲れなすったのでしょう。お眠りになれて? ぐっすりお眠りなさるといいわ。」

彼は何とも答えなかった。彼女の顔から眼を外らして、天井の隅にぼんやり視線を投げながら、妻の美しい肉体のことを想った。