Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるよのたけだりんたろう
或る夜の武田麟太郎
豊島 与志雄
Lisez 或る夜の武田麟太郎 (あるよのたけだりんたろう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 499 caractères · 8 écrans
すぐ近くが吉原の大門で、そこを出入りする人には気の毒であるが、この大門に用のない吾々にとっては、水っぽくて美味な酒が有難かった。もっとも、小林でいつもそういう酒を用いていたかどうかは分らない。海千河千といった気の利いた女中がいたので、酔っ払いの客にだけ特に出してくれたのかも知れない。その酒を飲んでいると、酔いざめの水の作用までしてくれて、東が白む頃までには、全くお誂え向きの程度にまで酔いがさめてくる。少くとも、外が明けるまでうまく飲み通せるのである。
この小林で、私はしばしば武田麟太郎に出会った。両人とも、小林に始終行きつけていたわけではない。なにかこう人生をまた文学を摸索しあぐんで、お互いの思惟内容は多少異りながらも、市井のゲテ飲酒のうちに彷徨するという、そういう時期がたまたま一致したのでもあろうか。いや、そういう時期は両人とも幾度か持ったので、或は常に持っていたので、ただ小林に足が向きがちな時がたまたま一致したのであろう。
不思議なことに、武田と私は、どちらも一人きりの時に出会った。武田の方に連れがあるか、私の方に連れがあるか、そんな時に出会ったことは一度も覚えていない。