Classiques japonais avec furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lisez 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 113 554 caractères · 228 écrans
」と言って、弟を顧みて、
「敬宗もおとなしくしていなければ駄目よ。」と、姉らしい調子で言った。
ふじ子は、室のなかを見廻して、一枚の額の絵の上に瞳を凝した。
「あの絵は何んでしょうか。わからないわね敬宗。」と弟をかえり見た。
私は言った。
「あかくなっているのは煉瓦の塀です。そう見えるでしょう……」
「ええ。」
「その前を人が歩いているでしょう。うつ向いて――空に雲が出てあかくなっているでしょう。それからいっぱいに草が生えているでしょう。あれは野です。」
「夕方ですわね。」
「そうです。あのひとは大変寂しそうに見えるでしょう。」
「そうね、何処へゆくんでしょうか。」
「さあ、何処へ行くのか。」
私は言い詰って黙って、絵を見つめた。一人の男が町端れから野のある方へ向って、重く歩いているさまが描かれてあった。Hの絵だ。Hはよく憂鬱な寂しい自画像を書いた。かれはいつも好んで、自然の中に投げ出された自分を描いた。
ふじ子は、こんどは、もう一枚の燻し金のふちに入った絵に目をとめた。
「二人で何をしているのでしょう。」
「お祈りをしているのです。夕方、田圃の仕事が済んでから、お祈りをしてから家へかえるんです。