Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるおとこのしゅき
或る男の手記
豊島 与志雄
Lisez 或る男の手記 (あるおとこのしゅき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 43 279 caractères · 86 écrans
そういう様子を神経質な長女の清子は、子供心にも痛々しく感じたのであろう、私の方を窺ったり俊子の方を窺ったりして、それから妙に涙ぐんだような眼付で、俊子の側にいつまでも坐り込んで小布を弄ったりしていた。次の子の秀夫は何事にも無頓着で一人で騒ぎ廻っていたが、いつも遊び相手の清子が取合わないので、つまらなそうな顔をして、女中の所へ菓子をねだりに行った。末っ児の達夫は、三歳とは云え漸く駈け廻れるくらいで、玩具箱をかき廻すのに倦きると、しきりに母親の後ばかり追っかけた。それを俊子は時々の気分によって、突き放したり抱擁したり愛撫したりして、泣かせたり苦しませたり喜ばせたりした。それから女中は変におずおずして――と私には思われた――影の方に引込んでばかりいた。皆一緒になって和やかにいっていた家庭の調子が、何だかばらばらに壊れて狂ってきた。其の中で俊子は、殆んど用事だけの口をしか利かないで、冷たい蒼ざめた顔をして、何処かの隅にぽつねんと考え込んでいた。そして突然気付いたかのように、子供達に対していろんなことをしてやるのが、益々家庭内の空気を不安になすのだった。
その不安な空気に堪えられなくなると、私は彼女から身をもぎ離すようにして、二階の書斎に上っていった。