Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
せんじょう
戦場
夢野 久作
Lisez 戦場 (せんじょう) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 769 caractères · 51 écrans
しかし二人とも大佐には追附き得なかった。大佐は途中で二度ばかり私を振返って、
「ソンナ奴は放っとき給え。早く来給え」
と噛んで吐き出すような冷めたい語気で云ったが、私の頑固な態度を見て諦めたのであろう。そのままグングンと私たちから遠ざかって行った。そうした理屈のわからない残忍極まる大佐の態度を見ると、私はイヨイヨ確りと候補生を抱え上げてやった。
候補生はホントウに目が見えないらしかった。その眼の前の零下二十度近い空気を凝視している二重瞼と、青い、澄んだ瞳には何等の表情も動かなかった。ただその細長い、細い、女のような眉毛だけが、苦痛のためであろう。絶えずビクビク……ビクビク……と顫動しているだけであった。
私は遥かの地平線に散り乱れる海光色の光弾と、中空に辷り登っている石灰色の月の光りに、交る交る照らされて行く候補生の拉甸型の上品な横顔を見上げて行く中に又も胸が一パイになって来た。こんなに美しい、無邪気な顔をした青年が、気絶する程に痛い足を十基米も引摺り引摺り、又もあの鉄と火の八ツ裂地獄の中へ追返されるのかと思うと、自分自身が截り苛責なまれるような思いを肋骨の空隙に感じた。