Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

げさくざんまい

戯作三昧

芥川 竜之介

Lisez 戯作三昧 (げさくざんまい) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 807 caractères · 42 écrans

Aozora Bunko

始め筆を下した時、彼の頭の中には、かすかな光のようなものが動いていた。が、十行二十行と、筆が進むのに従って、その光のようなものは、次第に大きさを増して来る。経験上、その何であるかを知っていた馬琴は、注意に注意をして、筆を運んで行った。神来の興は火と少しも変りがない。起すことを知らなければ、一度燃えても、すぐにまた消えてしまう。……

「あせるな。そうして出来るだけ、深く考えろ。」

馬琴はややもすれば走りそうな筆をいましめながら、何度もこう自分にささやいた。が、頭の中にはもうさっきの星を砕いたようなものが、川よりも早く流れている。そうしてそれが刻々に力を加えて来て、否応なしに彼を押しやってしまう。

彼の耳にはいつか、蟋蟀の声が聞えなくなった。彼の眼にも、円行燈のかすかな光が、今は少しも苦にならない。筆はおのずから勢いを生じて、一気に紙の上をすべりはじめる。彼は神人と相搏つような態度で、ほとんど必死に書きつづけた。

頭の中の流れは、ちょうど空を走る銀河のように、滾々としてどこからか溢れて来る。彼はそのすさまじい勢いを恐れながら、自分の肉体の力が万一それに耐えられなくなる場合を気づかった。