Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おうぎの

扇野

山本 周五郎

Lisez 扇野 (おうぎの) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 727 caractères · 67 écrans

Aozora Bunko

栄三郎は口をつぐんだ。

「どっちでもいいが、あの二人とは会わないようにするんだな、あまり出歩かないほうがいい、ここは土地が狭いし、それに、――」と孝之介は一種の表情で栄三郎を見た、「襖絵のほうも競争者が出ることになったからね」

栄三郎は相手を見あげた。

「そうなんだ」と孝之介は頷いた、「これは角屋にはないしょだがね、私の父が家老職という責任上、一人の絵師にだけ任せておくわけにはいかないというんだ、それでもう一人、土佐派の絵師で、――名は云えないけれども、父が古くから知っている者があるので、それにも頼むことになったのだ」

「そういうことなら」と栄三郎は云った、「私は辞退することにします」

「自信がないというわけか」

「不愉快だからです」

「そうはいかないんだ」と孝之介は首を振った、「もう一人の絵師に頼んだのは念のためで、正式の揮毫者はやはり其許だからね、このことを角屋に話さないのは、角屋が其許に遠慮して、なにか奔走しはしないかと思われるからだ、其許の絵をまもるためにね」

「たとえば、どういうふうにです」

「どういうふうにでもさ、――角屋は富豪だし、金のちからは大きいからね」