Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おうぎの
扇野
山本 周五郎
Lisez 扇野 (おうぎの) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 33 727 caractères · 67 écrans
近頃では旦那があり子供もあると云っているが、そんなことは誰も気にしないし、却ってひいき客が殖えるばかりのようであった。
こういう事情はみな、おさとが訪ねて来ていっしょに桑名屋へゆく途中、彼女の口から聞いたのであるが、栄三郎はおつるにはなにも知らないふうをし、やはり旦那があり子供があるつもりにしていた。
絵は順調に進んでいった。栄三郎の一日おきの桑名屋がよいも、おつるが忍んで来ることにも変りはなかった。こうして七月、八月と過ぎ、海に秋の波が立つようになった。栄三郎がそれをはっきり覚えているのは、その夜(桑名屋へ)でかけようとしたとき、おけいが珍しく離れ座敷へやって来て、今夜は寒くなりそうだから着てゆくようにと、仕立ておろしの羽折をそこへ出した。
「ずいぶん波の音が聞えるでしょ」とそのときおけいが云った、「こんなふうに波の音が聞えるようになるともうすっかり秋で、夜が更けると寒くなるんですのよ」
栄三郎は眩しそうな顔つきで、おけいの着せかける羽折に袖をとおしながら、その波の音を聞いた。彼はおけいがなにか云うつもりだなと思った。仕事のあいだは誰もこの座敷へは入らない約束で、まえにも記したとおり、食事を運んで来るおけいも長四帖から引返していた。