Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

とびらのかなたへ

扉の彼方へ

岡本 かの子

Lisez 扉の彼方へ (とびらのかなたへ) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 155 caractères · 17 écrans

Aozora Bunko

「してなさるが、どうも奥さんと面白くない噂でね」と云いました。

私はそのとき、青年の珪次との恋に夢中になっていましたから、こんな壮年の妻帯者に興味どころではなく、全く没交渉の感じしか持っていませんでした。珪次はそのとき私と同じ年の二十一で、みずみずした青年でした。官立大学で経済を学んでいたために、父亡き後の母は、この遠縁に当って足繁く自家へ出入する青年を、何かと相談相手にして、いわば私との恋仲も黙許よりも、寧ろ奨励する形で、結婚にまで熟するのは容易な道行でありました。それが妨げられたのはたった一つの事件のためであります。

私の母は気性の派手な、負けず嫌いな、その癖締め括りのない、学者の妻というよりは、まあ事業家の妻にした方が適任と思われる性質の女でした。私の家には私の外に、弟妹四人あって、男二人は父親似の学者肌ですから、いつ独立して生活費の採れる見込みか判らないし、妹二人も母の性質にすれば、身分以上の仕度をしてよい家へ嫁入らせたかったのでしょう。どっちみちお金が欲しいところです。それで父親が遺して行った多少の動産を、珪次と相談して郷里の銀行へ出資したのだそうです。