Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おしえのきせき
押絵の奇蹟
夢野 久作
Lisez 押絵の奇蹟 (おしえのきせき) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 58 749 caractères · 114 écrans
八月になりますと、もうお正月の押絵の用意ですが、その頃は今のようにボール紙がありませんので、お母様が屑屋に頼んで反古紙を沢山に買って合わせ紙というのをお作りになるのでしたが、それが又大変で、秋日のさすお庭から畠から、お縁側まで一パイに干してあることがよくありました。そんな時にお父様は、その頃まであった緡につないだお金をお座敷に並べたり、又緡につなぎ直したりなさりながら、
「せめてその加勢でも俺に出来るとナア」
とよく云われました。お父様の手は畠仕事で荒れておりますので、糊の付いた紙をお扱いになるとじきに引っかかったり、まつわり付いたりして、お母様がお一人でなさるよりも却って手間取るのでした。
私もお母様のお忙がしさを見るにつけて、お手伝いをして差し上げたいのは山々でしたが、どうしたわけか同じ指を持ちながら、お母様のような縫い針やお洗濯が一つも出来ず、ただ、字を書く事と、お琴を弾くことが人並外れて好きなだけでした。そうして毎日川向うの賑やかな川端筋にあるお琴の先生の処へ学校の帰りにお稽古に寄るのでしたが、そのお復習をうちへ帰って、お父様とお母様の前でするのが又、何よりも楽しみで御座いました。