Classiques japonais avec furigana
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せっぷんをぬすむおんなのはなし
接吻を盗む女の話
佐左木 俊郎
Lisez 接吻を盗む女の話 (せっぷんをぬすむおんなのはなし) de 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 474 caractères · 10 écrans
ちょっと、この先に。――恵ちゃん、本当に大きくなったのね。」
静枝は恵子の肩に手を置きながら言った。
「やんちゃでしょうがないのよ。」
「おばちゃんに、接吻をして頂戴よ。ねえ! 接吻をして頂戴よう。」
静枝は恵子の肩を軽く掴んで頬摺りをするようにしながら言った。
「ねえ! 接吻をして頂戴よう。厭なの! 厭ならいいわ。」
「静枝さん! 何をするの? そんなこと止して頂戴!」
三枝子は恵子をぐっとひったくった。
「まあ! どうして?」
「――どうして? もないわ。それを私に訊くの?」
「だって、あたし、わからないわ。」
「私、何も知らないと思っているの? あなたとはもう、絶交よ!」
「絶交?」
「もちろんよ――接吻泥棒!」
「接吻泥棒?」
「知らない!」
併し三枝子は、驚いている恵子の手を引いて、自分の家の方へと、ゆっくり歩き出したのだった。――いくらでも闘ってやる!
三 媚を売る街
三枝子は宵から市内に出て行った。
勝手な自分の生活を持っている夫に対しては、最早、自分だけがその責任を負っていなければならない筈が無いと思ったからだ。
併し彼女は恵子のことを思い出した。