Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lisez 播州平野 (ばんしゅうへいや) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 683 caractères · 214 écrans
ひろ子が二階で、雨のふりこまない西側の窓から線路の方を見ていると、母があがって来た。ひろ子と並んで線路、その先の竹藪、山裾へと視線をやった。真面目に気づかわしげにその方角をみた。その竹藪のかげに水無瀬川の、大きい河床がかくされているのであった。
六七年前の梅雨時分、ひろ子が来ていたとき、やはり雨がつづいた。刈りのこされた麦が、みんな黒穂にくさって、この窓から見わたすと、河床からあふれて麦畑を浸した大水が幾日も鈍く光った。黒いくさった麦の穂先だけが、その鉛色に光る水の上にそよいでいた。
「ほん、大難儀いのう。山の方で、みんな樹を伐らせよって、おまけに、根っこまで掘りおこしたから、水のとめどがないようになりよった」
「こんどは、いいあんばいにまだ、あっちの畑まで水が出ておりませんね」
「それで結構でありますよ」
石田の家は、街道に沿って埋立てたせまい三角地の上に窮屈に建て増し、建て増しされた家であった。廊下の中に庇合わいなどがあった。こんなに降ると、仏壇のおいてある戸棚の中が大もりになって、バシャバシャしぶいた。家じゅうそこここに、盥、バケツがもち出された。