Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばんしゅうへいや

播州平野

宮本 百合子

Lisez 播州平野 (ばんしゅうへいや) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 683 caractères · 214 écrans

Aozora Bunko

隣室の兵たいは、あーあ、と退屈のやりどころない伸びをして、

「チェッ! 底ぬけでやがら」

舌うちした。

「きょうも、涙の雨がふる、か」

「冗談じゃねえよ。あの思いで遙々朝鮮くんだりから還って来てよ、内地へついて吻っと出来るかと思いゃ、大阪を目の前に見て足どめだ。二日だぜ、もう!」

むきになって云っているおっさんの声をききながら、ひろ子は、熱心に思いつづけた。ひろ子が、きょうこんなよろこびで二人の暮しを想うことが出来る、その可能を、あのとき、この折と、根気づよく導き出しながら困難な永い歳月を通って来たのは、何のおかげによるのだろう。それほどひろ子の愛は常に深いおもんぱかりに充ち、一本だちで、歴史の発展を見ぬいたものであったろうか。知らないうちに重吉が手をとって、いくつかの暗礁をこさせて来てくれていた。

ひろ子は、東京ではじめて重吉にあうとき、自分として第一に云うべき言葉は、彼の永年の辛苦に対する心からのねぎらいと、同じ心からの感謝であると思った。二人でここまで生きて来られたことに対して。

いきなり隣の部屋で、バタンと畳にぶっ倒れる音がした。

「大阪じゃ、家族の居どころさえわかっちゃいねえ。