Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lisez 播州平野 (ばんしゅうへいや) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 683 caractères · 214 écrans
「珍しいこともあるものねえ」
「昼飯でもたべにかえったんだろう。どうせ又来るさ」
そんなことを云いながら、それでも軽いこころもちになって、ぞろぞろ壕を出た。そして、みんな茶の間へ戻って来た。
「御飯、どうなさる? 放送をきいてからにしましょうか」
きょう、正午に重大放送があるから必ず聴くように、と予告されていたのであった。
「それでいいだろう、けさおそかったから。――姉さん、平気かい?」
「わたしは大丈夫だわ」
伸一が、柱時計を見てラジオのスイッチ係りになった。やがて録音された天皇の声が伝えられて来た。電圧が下っていて、気力に乏しい、文句の難かしいその音声は、いかにも聴きとりにくかった。伸一は、天皇というものの声が珍しくて、よく聴こうとしきりに調節した。一番調子のいいところで、やっと文句がわかる程度である。健吉も、小枝の膝に腰かけておとなしく瞬きしている。段々進んで「ポツダム宣言を受諾せざるを得ず」という意味の文句がかすかに聞えた。ひろ子は思わず、縁側よりに居た場所から、ラジオのそばまで、にじりよって行った。耳を圧しつけるようにして聴いた。まわりくどい、すぐに分らないような形式を選んで表現されているが、これは無条件降伏の宣言である。