Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ほうろう
放浪
織田 作之助
Lisez 放浪 (ほうろう) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 614 caractères · 47 écrans
護送の途中、汽車で大阪駅を通った。編笠の中から車窓の外を覗くと、いつの間に建ったのか、駅前に大きな劇場が二つも並んでいた。護送の巡査が駅で餡パンを買ってくれた。何ヶ月振りの餡気のものかとちぎる手が震えた。
懲罰のためというだけあって、仙台刑務所での作業は辛かった。土を運んだり木を組んだり、仕事の目的は分らなかったが、毎日同じような労働が続いた。顔色も変った。馴れぬことだから、始終泡をくっていた。朝仕事に出る時は浜子のことが頭に泛んだ。夕方仕事を終えて帰る時は美津子、食事の時は小鈴の笑い顔を想った。夜寝ると彼女達の夢をみた。セーラー服の美津子を背中に負うているかと思うと、いつの間にかそれは浜子に変って居り、看護婦服の浜子を感じたかと思うと、今度は小鈴の肩の柔さだった。
一年経ち、紀元節の大赦で二日早く刑を終えると読み上げられた時、泣いて喜んだ。刑務所を出る時、大阪で働くというと、大阪までの汽車賃と弁当代、ほかに労働の報酬だと二十一円戴いた。仙台の町で十四円出して、人絹の大島の古着帯、シャツ、足袋、下駄など身のまわりのものを買った。知らぬ間に物価の上がっているのに驚いた。