Classiques japonais avec furigana
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いけぶくろのかい
文藝別冊[総特集]岡本綺堂
岡本 綺堂
Lisez 文藝別冊[総特集]岡本綺堂 (いけぶくろのかい) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 72 671 caractères · 149 écrans
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おさき あとで女中をよこすから、なんでも用があったら遠慮なくお頼みよ。
お冬 ありがとうございます。
おさき (いじらしそうに見て。)いいかえ。もうお泣きでないよ。風があたるからここの障子は半分閉めて置こうね。
(おさきは縁側の障子を半分しめて奥に入る。お冬はひとりで泣きながら薬をのむ。庭口より和吉が忍んで出で、あと先を見まわしながら縁先に来る。)
和吉 (小声で。)お冬どん、お冬どん。
お冬 誰。和吉さんかえ。
和吉 (やはり小声で。)だれもいないね。
お冬 おかみさんが出ておいでなすったけれど……。今は誰もいませんよ。
(和吉は縁側ににじり上がり、障子をそっと明けてのぞく。)
和吉 まだ頭が重いかえ。
お冬 いそがしい中をたびたびお見舞に来てくれて有難うございます。
和吉 大旦那やおかみさんも心配していなさるから、早く癒らないじゃあいけないぜ。
お冬 あい。
(お冬はやはり啜り泣きをしている。そのいたましい姿を和吉はしばらく無言でじっと眺めていたが、やがて庭に降り立つ。)
和吉 じゃあ。きっと大事におしよ。
お冬 あい。(泣きながら。)おまえさんの親切は忘れませんよ。
(和吉は行きかけて躊躇し、また思い切って縁先へ引っ返して来る。