Classiques japonais avec furigana
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たぬきもんどう
文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
鈴木 鼓村
Lisez 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会 (たぬきもんどう) de 鈴木 鼓村 (すずきこそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 992 caractères · 21 écrans
ところへ参られぬ始末なので御座います、何卒方丈様の御功徳で、つゆも心残りなく、あの世に参れますよう、実は御願に只今上りましたので御座いますと、涙片手の哀訴に、私は直ちに起って、剃刀を持来って、立処に、その娘の水の滴るような緑の黒髪を、根元から、ブツリ切ると、娘は忽ちその蒼白く美しい顔に、会心の笑を洩して、一礼を述べて後、妾がほんの志ばかりの御礼の品にもと、兼てその娘が死せし際に、その枢に納めたという、その家に古くより伝わった古鏡と、それに、今切落した娘の黒髪とを形見に残して、喜んで再び庭より飛石伝えに中門へ出で行く姿を見ると、最早今は全くこの世を思切りしものか、不思議な事は、スラリとしたその振袖姿の、袖や裾のあたりが、恰度蝉の衣のように、雪明りに透いて見えて、それを通して、庭の梧桐や金目などの木立がボーッと見えるのである、娘は柴折戸のところへ来ると今雨戸のところに立って見送っていた、私の方を振返って、莞爾と挨拶したが、それなりに、掻消す如くに中門の方へ出て行ってしまった、この後は別に来なかったから、それで全く心残りなくなった