Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんじゅのことば
新樹の言葉
Lisez 新樹の言葉 (しんじゅのことば) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 156 caractères · 59 écrans
甲府へ降りようと思った。甲府なら、東京よりも温いほどで、この冬も大丈夫すごせると思った。
甲府へ降りた。たすかった。変なせきが出なくなった。甲府のまちはずれの下宿屋、日当りのいい一部屋かりて、机にむかって坐ってみて、よかったと思った。また、少しずつ仕事をすすめた。
おひるごろから、ひとりでぼそぼそ仕事をしていると、わかい女の合唱が聞えて来る。私はペンを休めて、耳傾ける。下宿と小路ひとつ距て製糸工場が在るのだ。そこの女工さんたちが、作業しながら、唄うのだ。なかにひとつ、際立っていい声が在って、そいつがリイドして唄うのだ。鶏群の一鶴、そんな感じだ。いい声だな、と思う。お礼を言いたいとさえ思った。工場の塀をよじのぼって、その声の主を、ひとめ見たいとさえ思った。
ここにひとり、わびしい男がいて、毎日毎日あなたの唄で、どんなに救われているかわからない、あなたは、それをご存じない、あなたは私を、私の仕事を、どんなに、けなげに、はげまして呉れたか、私は、しんからお礼を言いたい。そんなことを書き散らして、工場の窓から、投文しようかとも思った。
けれども、そんなことして、あの女工さん、おどろき、おそれてふっと声を失ったら、これは困る。