Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんじゅのことば
新樹の言葉
Lisez 新樹の言葉 (しんじゅのことば) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 156 caractères · 59 écrans
ほんとうは、鏡花をひそかに、最も愛読していた。末弟は、十八歳である。ことし一高の、理科甲類に入学したばかりである。高等学校へはいってから、かれの態度が俄然かわった。兄たち、姉たちには、それが可笑しくてならない。けれども末弟は、大まじめである。家庭内のどんなささやかな紛争にでも、必ず末弟は、ぬっと顔を出し、たのまれもせぬのに思案深げに審判を下して、これには、母をはじめ一家中、閉口している。いきおい末弟は、一家中から敬遠の形である。末弟には、それが不満でならない。長女は、かれのぶっとふくれた不気嫌の顔を見かねて、ひとりでは大人になった気でいても、誰も大人と見ぬぞかなしき、という和歌を一首つくって末弟に与え、かれの在野遺賢の無聊をなぐさめてやった。顔が熊の子のようで、愛くるしいので、きょうだいたちが、何かとかれにかまいすぎて、それがために、かれは多少おっちょこちょいのところがある。探偵小説を好む。ときどきひとり部屋の中で、変装してみたりなどしている。語学の勉強と称して、和文対訳のドイルのものを買って来て、和文のところばかり読んでいる。きょうだい中で、母のことを心配しているのは自分だけだと、ひそかに悲壮の感に打たれている。