Classiques japonais avec furigana
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ふたりのとも
新潮日本文学1 森鴎外集
Lisez 新潮日本文学1 森鴎外集 (ふたりのとも) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 954 caractères · 29 écrans
それは互に得失があるのである。君は語格文法に精しい。文章を分析して細かい事を云う。私はそんな時に始て聞く術語に出くわして驚くことがある。しかし君の書いたドイツ文には漢学者の謂う和習がある。ドイツ人ならばそうは云わぬと、私が指する。君が服せぬと、私は旅中にも持っている Reclam 版の Goethe などを出して証拠立てる。こんな応対がなかなか面白いので、私も君の来るのを待つようになった。
天気の好い土曜、日曜などには、私はF君を連れて散歩をした。狭い小倉の町は、端から端まで歩いても歩き足らぬので、海岸を大里まで往ったり、汽車に乗って香椎の方へ往ったりした。格別読む暇もないのに、君はいつも隠しにドイツの本を入れて歩く。Goeschen 版の認識論や民類学などである。なぜかと問うと、暇があったら読もうと思うのが楽しみだと、君は答える。ひどく知識欲の強い人である。
二三週間立ってから、或る日私はF君がどんな生活をしているかと思って、役所からの帰掛に立見をおとずれた。丁度お上さんが門口から一匹の小犬を逐い出しているところであった。「どうも内の狆が牝だもんですから、いろんな犬が来て困ります」