Classiques japonais avec furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lisez 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 172 caractères · 277 écrans
死後、いつまでも、お墓がなかった遠藤清子のために、お友達たちがそれを為した日の、供養のあつまりだった。
会計報告が、つつましやかに、秘々と示された。ずっと一隅によって、白髪の、羽織袴の角ばった感じの老人と、その他にも一、二の洋服の男がいたので、その人たちへの遠慮で、後のことなどの相談をした。会費と、後々の影向料とがあつめられたりした。
やがて、本堂へ案内された。打揃って座についたが、本堂は硝子障子が多いので、書院よりは明るいが、その冷はひどかった。読経もすこしも有難みを誘わなかったが、私は、眼の前の畳の粗い目をみつめているうちに、そのあたりの空間へ、白光りの、炎とも、湯気とも、線光とも、なんとも形容の出来ない妙なものが、チラチラとしてきた。
――遠藤清子さんは悦んでいるだろう。
たしかにそうも思いはしたが、それよりも、急に、わたしの胸を衝いてきたものがある。廿五年の歳月は、こんなにもみんなを老わしたかと――
誰の頭髪にも、みんな白髪の一本や二本――もっとあるであろう。その面上にも、細かき、荒き、皺が見える。
ひとり、ひとりが、焼香に立った。
悪寒が、ぞっと、背筋をはしると、あたしはがくがく寒がった。