Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lisez 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 172 caractères · 277 écrans

Aozora Bunko

「あ、赤坂の旧家じゃない。」

パッチリと眼がさめると、猫だと思ったのは、隣室から、男のいびきがきこえていたのだった。

ラッパの音は、戸山学校からきこえてくるのだった。大久保の新居に来ての朝夕、馴染のない場処でありながら、赤坂に住んだ五年間と変らないのは、陸軍のラッパの、音をきくことだけだった。

――もう、やがて、二十日ぢかくにもなる――

目がさめさえすれば、妙にしょんぼりと、越して来た日のことが、目に浮ぶのが、この頃のならわしになっていて、十二月九日に泡鳴氏と、此処に同棲しはじめてからのことが、またしても繰返して思いだされるのだった。荷物を出してから、二人して来たこの家に、家主のところから提燈を借りて来て、二人は相対していた。冷々した夕闇のなかで、提燈を抱えるようにして暖まったり、莨を吸ったりして荷物のくるのを待った。

お蕎麦で夕食をすませると、もう荷物も着くだろうと、家のなかを見廻して清子は言った。

「とにかく、同棲しても、まだ友人関係なのですから、あたしの寝間は、此処を茶の間にして、そっちの六畳ときめますから。」

「では、僕は、八畳の方か。あすこ、客間だね。