Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まさことまき
方子と末起
小栗 虫太郎
Lisez 方子と末起 (まさことまき) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 517 caractères · 24 écrans
謙吉の生活もたしかに暗いものだった。いまも、眼は霑い悲しみの色が、たしかに、祖母への憎悪より度強いことがわかる。末起も、それを見るとあれほど固かった、信念がぐらぐらに揺ぎだしてくるのだ。
しかし祖母の眼は、孫娘をみると和らぎと愛に、一度は、渇いてかさかさになったのが濡れはじめすうっと頬を伝わる。もう末起は、疑惑の深さに耐えられなくなってしまった。お祖母さまの、頬に自分の頬を摺りつけて、冷たい、濡れたうえをすうっと走る、涙に自分が泣いているのがわかった。
「ようお祖母さま、いまお義父さまはなんて仰言ったの」
末起は、あいだを置いてぐいと呼吸をのんだが、どっちにも、瞬きを止めるあの感動をあらわしたに過ぎなかった。末起はそれをみて、万策尽きたように感じた。このまま、永遠に鎖の音を聴き、解けぬままにどこまでも引き摺られるのだろう。
が、そのとき、祖母の眼が正面にある、何かの上に、ぴたりと据えられているのに気がついた。瞬かぬ……なにか、末起に訴えようとしている。
「なあに、お祖母さま。これ……じゃ、これ?」
するとお祖母さまは、暖爐の袖にかけてある鍵を取りあげたとき、きゅうに、瞬きをやめるあの感動をあらわした。