Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
たびだち
旅だち
豊島 与志雄
Lisez 旅だち (たびだち) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 059 caractères · 24 écrans
ただその日まで、敏子は何事も言いたがらず、誰にも逢いたがりませんでした。副島の伯母さんが来ても、ちょっと挨拶をするきりで引っこみました。友だちが来ても、素気ない待遇をしました。掃除や炊事に女中の手伝いをすることも、殆んどなくなりました。
五月二日に、保科哲夫が訪れて来ました時、敏子は初めて長く席にいました。なんだか旧師に対する悪戯生徒のように、言葉少なにもじもじしていました。
保科と母との話のなかで、いろいろなことが露見してきました。
敏子が四月二十日の会合に行ってみたことを、母は初めて知りました。敏子の父が亡くなっていることを、保科は初めて知りました。五月五日すぎに敏子が旅に出る意向のことを、母は初めて知りました。
「旅に出るなんぞと、そのようなことを、ほんとに考えているのですか。」
と母は敏子の方へ尋ねました。
敏子は母と保科を交る代る見て、甘えるように言いました。
「ちょっと考えてみただけでしたの。けれど、だんだん本当の気持ちになってきました。ねえ、お母さま、いいでしょう、ほんの、一週間ばかりでいいんですから、行かして下さらない。」
「いったい、どこへ行くのですか。