Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
久慈が踊って椅子へ戻って来る度びにイタリアの女は東野に踊ろうと迫ってきかなかった。
「いや、電話とじゃ踊れないや。」
と東野は日本語で云った。分りもしない日本語の癖に女は相槌を打って笑った。もう三人とも誰の話も聞こうともしない。踊子らにシャンパンをすすめながらそれぞれ勝手なことを話しているうちに、
「ほう、これはどうじゃ。」
と矢代が高く柱となって延び上っている皿を見て笑った。
「ははア、元気がいいな。生きとるぞ、こ奴。」
と久慈も面白そうにテーブルの上の皿を見ながら笑った。初めは一本だった皿の柱が二本になって延びていた。いつの間にか客たちは部屋いっぱいになって来ていたが、三人はもう他の客の顔など見えなかった。イタリアの女は一番女たちから敬遠される東野を気の毒がって彼ばかりに話した。東野は日本流の手相を見てやろうと云ってそのカルメンの手を開かせたり、イタリアへそのうち行きたいのだがいつが良いかと訊いたりしている間にも、久慈と矢代は元気よく踊りつづけていた。そのうちに二本だった皿の柱が三本になり始め、雨後の筍のような美しい節を揃えてそれぞれテーブルの上で競い立った。