Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

これを壊してなるものか。」

とまた祭壇を拝むように高い窓を見詰めつづけ、いまいましい感情の鎮まるまで久慈はそこから動かなかったが、一つは、後へ引き返せば自分のホテルへは戻らず前を通りぬけて、また虎穴の真紀子のホテルへ舞い戻りそうな危険を感じたからだった。事実、深夜のベンチに坐っているこのおかしな姿も、半ばはも早や真紀子から逃れ切れない予感のためでもあり、今や沈もうとしている身にとっての一握の藁が千鶴子の窓だとは、われながら思いもかけなかったこの夜の失策だったと久慈は苦笑するのだった。

ベンチの鉄が露を噴いて冷たく背に応えて来た。久慈は真紀子の寝台の上で見た夢にもし母が顕れて来なかったら、あのとき限り自分は危なかったに相違ないと思った。

しかし、駄目だ。明日も明後日もあるのだ。危険はとうてい母の夢だけでは防ぎ切れぬ。それならひと思いに真紀子の傍へ戻ろうかとまた久慈は考えた。彼はベンチから立ち上ると千鶴子のホテルの入口へ行き肩で戸を押してみた。戸は無造作に開いた。すると、中へ這入ろうとも思わぬのにもう玄関へ這入り、階段を昇っていった。今ごろは寝入っている最中にちがいないと思ったが、ふともし今ひと眼でも千鶴子に会えれば、どんなことで身に迫っている危機を脱せぬとも限らないと思うある希望に曳かれ、足は気遅れなく戸