Classiques japonais avec furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
三人の傍へ塩野が来ると千鶴子に、飛行場行のバスは一ぱいで見送人は乗れないそうだから、今日はもうここで失礼すると云い、ロンドンへ行ったら君の兄さんに宜敷くと告げた。
「それじゃ、困ったな、そんなら矢代一人をやろう、一人なら空いてるだろう。」
と久慈は云ってバスの運転手のいる方へ行った。戻って来ると彼は矢代に、君一人なら何んとかなるそうだからブールジェまで僕らの代表で行ってくれと頼んだ。矢代は黙って時計を見ると間もなくバスの出るころだった。どこにいたのか今まで見えなかった乗客もいつの間にか集って来ていて、だんだんバスに乗り込むのが増して来た。
「中田さん、もうベルリンへお発ちになったかしら?」
と千鶴子は塩野に訊ねた。
「今朝早く発った筈ですよ。あんまり早いんで僕は見送れなかったが、あの人ゆうべもあれから弱っていましたよ。真面目な学者だからなアあの人は。」
何んの気もなくそう洩した塩野の言葉に、一瞬矢代と久慈も、集りかかった玉がぱっと爆けるように衝き放された気持ちで黙った。東野は後ろの方で塩野の話を聞いていたものらしく、笑いながら久慈に近づいて来て、
「君、昨日殴られたんだって?」